幸せな人生を

ここ「エクスマキナ」に住む住民たちは皆幸せを強いられている
それはこの世の神が決めたこと
「皆は幸せでなければならないと」
この世界の唯一無二のルールである

神が決めたルールはそれ一つ
しかし、規則がそれだけではこの世界は自由すぎた
故に「幸せのもの」がいれば「幸せでないもの」も存在した

だから教会は
幸せを義務化することにした

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ここは中世ヨーロッパのような街並みをしながら、科学技術の発展が目覚ましい
科学技術に関しては現代以上と言っていいだろう
町中にはセキュリティが張り巡らされ、警備も万端
監視カメラのない場所はないほどだ

この世界には必ず守らないといけないルールが存在する
それは「幸せであること」
以上
全員が幸せでいるために神に一番近い存在の「教会」が幸せを義務とした
故に幸せでない人間は神に逆らう「異教徒」として人々から忌み嫌われた
しかし人間は皆幸せに過ごすなんて不可能なこと
そのため、心の中では「くそくらえ」と思いながら「幸せ」を偽っているのがほとんどだ
義務さえ守っていれば裕福な食事に安全な家を教会から得られる
だからほとんどの人間は「幸せ」を偽るのだ
もちろん「教会」の人間だってそうかもしれない…

ー教会ー
神に近い存在と言われ、幹部は「天使」と敬られる人間だ
君たちには疑似的な機械の「羽」が生えている
それは生き物そっくりかもしれないし、機械的かもしれない
動かすことは叶わないが体の一部となっているため少し重いかもしれない
しかし、君たちの権力を示すためのものだ
「天使」の役割は二つ
一つ。人間が皆幸せであることを確認すること
二つ。「異教徒」を発見次第殺害すること

「教会」の役割は「異教徒」の殺害だ
教会が圧倒的上で、異教徒が下だと人間に教え込め

天使は神に選ばれ天使となる
基準は不明だ

ー花ー
本名とは別に花の名前が与えられた人間たち
君たちには「花」のタトゥーが体の一部にある
花は仕事の総称であり、一般的に仕事をして生活している人間たちのことを言う
働くことで金銭を得て、幸せに暮らすことが教会から義務付けられている
花の一瞬の怠慢を神は許さない
他の「花」や「教会」から怠慢の事実の報告、「異教徒」の報告があった場合
即刻幸福でないとみなされ、あなたは「異教徒」となる
うまく生きなさい
神は報告の真偽をよく知らべることはしない

ー宝石ー
本名とは別に宝石の名前が与えられた人間たち
君たちは名前通りの「宝石」を身に着けることで自分を示す
宝石とは技術職の総称であり、主にテクノロジーの発展に尽力している人間たちのことを言う
彼らは花と違い技術成果を残すことで幸せを証明されると教会から義務付けられている
宝石が無能なことは神が許さない
どんな専門的技術でも構わない人形技師や時計技師
なんでもいい
結果さえ残せば君たちは宝石であり続けられる
ただの石ころの「異教徒」に成り下がりたくはないだろう

ー異教徒ー
君たちには「バツ印」のタトゥーが体の一部にある
彼らに別称はない「異教徒」と呼ばれすべての人間が忌み嫌う存在である
と、神は言っている
だが実際そこまで「花」や「宝石」から嫌われているかというとそうではない
中には元花や元宝石だったものも存在する故か、異教徒と今まで通り接する花や宝石も存在する
しかし生活は酷く貧困だ。家もなければ食事の心配も絶えない
教会の支援がないのと、異教徒の数が花や宝石より多いことからスラム街のような酷い光景が広がっている
そして、花や宝石と異なるところは「天使」に命を狙われるというところだ
神に逆らった人間どもよ
自分の命は自分で守るがいい

ー堕天使ー
「教会」の裏切者
元天使達
君たちは今の「天使」たちに一番に命を狙われるだろう
「羽」をもがれ
君たちは体の一部が欠損している
「天使を殺せ」
それが君の使命に違いない
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さぁ、もうお気づきだろう
この世界は「能力」という特別な力が使える存在が二つある
「天使」と「堕天使」だ
彼らは表立って能力を使用する者達だと
神は思っている

しかし、それは違う
この世界はどの人間も等しく身を守るため
能力を一つ持っているのだ

花や宝石はそれを隠して生きている
「天使」に殺されないため
「神」に逆らわないため

「神」っていったい何なのだろう
「神」とは一体だれが作ったのか

ここで
神の名を君に教えよう
「deus ex machina」

あぁ、これで君も

神の名を知った「異教徒」だ
そもそも、「能力」を持っている時点で神の裏切者なのだがね

君は「異教徒」を偽る「花」か「宝石」か
はたまた「天使」か？

神の正体は＿＿